この法律はどんなことを定めているの?
行政書士法は、行政書士という専門職の資格・業務・義務・処分などについて定めた法律です。
行政書士は、官公署に提出する書類の作成やその手続き代理、相談業務などを行う国家資格者で、「書類作成の専門家」ともいえます。
この法律は、誰が行政書士になれるのか、どんな仕事ができるのか、どんな義務があるのかなどを明確にし、国民と行政の橋渡しを安全・適正に行うための枠組みを定めています。
この法律がないとどうなる?
もし行政書士法がなければ、誰でも行政手続を代理したり、勝手に「行政書士」を名乗って報酬を取ることが可能になってしまいます。
その結果、不正確な書類や虚偽の申請が横行し、行政の公平性が失われたり、国民が損害を被るおそれがあります。
この法律により、信頼できる専門家による業務が保証され、行政と市民の間の手続きがスムーズかつ安全に進められる仕組みが守られています。
この法律を守らなかったら?
行政書士法に違反した場合、次のような処分や罰則が科されることがあります。
- 無資格者が行政書士を名乗る → 罰金または業務禁止
- 行政書士が義務違反(秘密漏洩など) → 懲戒処分(業務停止・登録抹消など)
- 報酬額の上限を超えるなどの違反 → 指導・処分対象に
また、行政書士が職務上知り得た情報を漏らした場合には、罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が課されることもあります(第12条の2)。
たとえばこんな場面(一般的な事例)
- 飲食店を開業するために保健所に出す申請 → 書類の作成や提出を行政書士が代行
- 建設業許可の申請書類を整える → 要件に合うよう相談・作成を依頼
- 外国人の在留資格変更の書類 → 書類作成や説明資料の整備を行政書士が支援
※行政書士が代理で「申請そのもの」を行える業務と、作成だけを担う業務があります。弁護士・司法書士・社会保険労務士などと重複しないよう業務の範囲は明確に決められています。
行政書士の主な業務内容とは?
行政書士ができる主な業務は、法律上次の3つに分類されます(第1条の2)。
- 官公署に提出する書類の作成とその代理・相談
- 権利義務や事実証明に関する書類の作成と相談
- 契約書、内容証明、遺産分割協議書などの私文書の作成支援
ただし、弁護士法に違反するような「法律相談」や「交渉代理」はできません。
行政書士になるにはどうすればいい?
行政書士になるには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 国家試験に合格する(年1回、一般教養+法令科目)
- 弁護士、弁理士、公認会計士等の有資格者
- 公務員として一定年数以上、行政事務に従事した経験
加えて、都道府県の行政書士会への登録が必要です(登録後でないと名乗れません)。
行政書士の義務と責任
行政書士には、以下のような義務があります。
- 信用保持義務(第10条):品位を保ち、誠実に業務を行うこと
- 秘密保持義務(第12条の2):業務上知り得た秘密を漏らしてはならない
- 標識掲示義務(第12条):事務所に行政書士であることを明記
これらの義務に違反した場合は、業務停止などの懲戒処分の対象となります。
用語の補足
- 行政書士:官公署に提出する書類を専門に扱う国家資格者。行政手続のサポーター
- 官公署:役所、警察、出入国在留管理庁など、国や自治体の行政機関
- 懲戒処分:法律違反や義務違反をした行政書士に対するペナルティ(停止・抹消など)
注意点
このページは、行政書士法の内容をやさしく紹介するもので、教育・啓発を目的としています。
内容は一般的な情報に基づいており、すべての状況にあてはまるとは限りません。
具体的な判断が必要な場合は、弁護士や行政書士会などの専門機関へご相談ください。
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